とりたてのトマトの美味しさを広めたい(三須美智子さん/千葉県)


千葉県船橋市にある三須トマト農園。子育てと農園の運営を両立する三須さんに、農業を始めるきっかけや、農園のトマトのこだわり・特徴を教えてもらいました。

サラリーマンからの転職

農園の手伝いは、主人が家業の農業を手伝うと決めた際一緒に始めました。しかし、それまでは全く違う環境にいたので、最初はそんなに気乗りがしなかったのが正直なところです。手伝いを始めた当時は小松菜農家で、実は現在のようにトマトの栽培は行っていなかったんです。トマト栽培は勉強期間を経て4年前に始めたのですが、きっかけは地方直売所のトマトが忘れられないほど美味しく「こんなトマトを都市部に届けたい」と思ったことです。ただ歴史をたどると千葉県で初めてトマトを作ったのは主人の曽祖父と言われており、何かのご縁でまたトマトを作ることになりました。そういった経緯で、主人も私も会社を辞めてから農業をスタートしています。

手伝いのスタート

私の農家として最初の仕事は、直売所をオープンすることでした。前職でお店の経営に携わることもあったので抵抗はありませんでしたが、主人の実家は家族経営だったので他人の手を借りるということがなく、運営を手伝っていただくスタッフの採用も初めて行いました。実際やってみて改善点は多くありましたが、スタッフの協力もあり順調にオープンでき、結果として前職の経験が活きる形となりました。また店頭に立つことでお客様の要望を聞くことが出来たのが良かったです。実際にお客様の声をロゴやパッケージに反映し、オリジナルのギフトボックスも作りました。


(農園近くの直売所)


(お客さまの声から実現したギフトボックス)

太陽の光でしっかり熟してから収穫

三須トマト農園のトマトは、樹の上でしっかり熟したものだけ出荷することにこだわっています。スーパーのトマトは店頭に並ぶまでのタイムラグや輸送の都合で、どうしても早めに収穫してしまうことが多いです。トマト本来の美味しさを味わってもらうためには、やはりしっかり熟した状態で食べてもらいたいので、うちでは1つ1つ成長を確認して完熟したものだけ摘み取ってお届けします。

ハウス内は太陽光を集める設計

トマトの成長には太陽の光がとても大切です。そのため、効率的に太陽を浴びる環境づくりに徹底しています。ハウス内の地面には一面白い布をはり、壁や柱は全部白く塗っています。これは頭上からふり注ぐ太陽の光を全方位から反射させ、効率的に樹に集まるようにするためです。またより多くの太陽の光を樹に当てるように、ハウスのビニールは太陽の光を取り込みやすい特殊な素材を使い、カーテンの陰さえなるべく減らすように配置を考えています。それによって太陽の光を充分に樹に届け、甘く熟しやすいようにしています。


(眩しいほどの太陽が降り注ぐハウス内)

農薬に頼らない栽培

栽培方法にもこだわっています。化学農薬をなるべく使わず生物農薬を使用し、天敵・微生物を活用することで虫を予防します。そのためハウス内の環境維持には最新の注意を払っており、土足厳禁(付着した虫を外から連れてきてしまう可能性より)で、ハウス内に入るときは靴を履き替え、さらに足裏と手先の消毒を行います。また扉は二重扉で通気用のネットは目の細かものを使用し、病害虫の進入を防いでいます。化学農薬をできるだけ使用しないことにこだわるのは、私自信も小さい子供がいるので、子供たちに安心で美味しいもの食べてほしいと考えているからです。


(大切な受粉を手伝うハチ。栄養補給に花粉とシロップを与える。)

食べ方はさまざま

トマトはもちろん生で食べていただくと美味しいですが、火を加えても栄養素が失われにくいため加熱調理もオススメです。子供が好きでよく食べるのは、炊飯器の中にトマトとオリーブオイル・しおとこしょうを入れたイタリアン風炊きこみご飯です。スタッフに好評なのは、トマトの肉巻きです。アイコという品種を使い、しおこしょう・ポン酢や焼肉のタレで味付けすると、おべんとうにもピッタリです。トマトを贅沢に使う場合はトマト鍋がオススメ。水分量を普段の半分にし、好きな野菜とトマトを入れて煮こみ、最後にチーズをのせると美味しいです。〆にご飯入れるとリゾットになり、パスタを入れても美味しいです。


(味や香りの違いを楽しめるカラフルトマト。めずらしい緑も)

日常的にたべられる価格のバランス

美味しいトマトをできるだけ日常的に食べてもらえるように、収穫量を保ち、手の届く価格で提供できるように気を使っています。甘さだけを追及して収穫量を落とすと、その分どうしても価格が高騰してしまいます。トマトが毎日食べる野菜であってほしいので、できる限り甘く美味しく、その一方で値段が高くなり過ぎないバランスを保つように努力しています。そのためにはやはり完熟で甘さを引き出すことが必要なので、完熟状態まで待ってから収穫するようにします。また鮮度を保つために、収穫当日か翌日には発送できるようにしています。

とりたてのトマトの美味しさを広めたい

農業の手伝いを始めて3年ほどになります。嬉しいのはやはり、お客様から直接美味しかったとの声をいただけることです。また子供達が喜んで食べてくれたのも嬉しかったです。トマトがあまり好きじゃない子供も「ここのトマトならたべられる!」と言ってくれて、そういった声に仕事のやりがいを感じます。始める前はキツそうで嫌だなと思っていたましたが、今となっては色々な方と出会い楽しく農業を行っています。今後は食育に繋がるような活動にも取り組んでみたいなと考えています。

本年度は、収穫量・質・味共にお客様に満足して頂ける商品になりました。太陽の光をいっぱい浴びて、樹の上でしっかり熟したトマトをお届けできたらと思います。

【プロフィール】

fril.jp

関連記事

アプリで暮らしを
ちょっとプラスに
累計4,000万DL突破!
トップへ