手軽にお米に触れてほしい(星 光さん/宮城県)


宮城県栗原市で同県を代表するお米を栽培する星さん。 動植物が大好きだという星さんならではの、環境に配慮した米作りに対する想いや、心をこめた米作りの方法を教えてもらいました。

農協職員を辞め就農へ

農業を始める前は、北海道の農協職員として働いていました。実家は代々宮城の米農家でしたが、学生の頃は家業を継ぐつもりはなく、日々忙しい農家には絶対なりたくないと思っていました。振り返ると、気持ちの変化があったのは高校3年生のときです。父の農業に対する誇りや情熱が素敵だなと、ようやく思えるようになりました。それでも当時はまだ米農家になるつもりはなく、北海道の大学を卒業した後は、農業のサポートをする職業に就きました。しかし就職してしばらくすると、家族の側で働きたいと思ったことや結婚をきっかけに、家業を継ぐことを決意。それから、地元宮城で米農家を始めることとなりました。

跡継ぎとして最初は不安も

実家が米農家とは言え、私自身は米栽培をしたことがありませんでした。全てゼロからの勉強となり、最初は不安ばかりでした。一緒に米農家を始めてくれた主人は酪農家の息子で、大学でも酪農が専攻でしたので、夫婦共にお米の栽培は初心者。最初の2年間は何も分からずに、ただただ父の真似をし学んだという形です。今年3年目となり、ようやく流れをつかめた今は、個人販売のお客様も増やすことを目標にしています。そのため、今まで取り組めていなかったラクマや、地元マルシェへの出店を始めました。父が築いた既存のお客様との関係を大事にしつつ、より多くの方に美味しいお米を知ってもらうことがミッションだと思っています。

記憶に残るお米


従来のお米のパッケージは、どこも大体同じで特徴がなく、個性が出しづらいと思っていました。消費者の方に、お米なんてどこも同じだと感じて欲しくなかったので、見た目にもこだわりを持つことで、若い方にも興味を持ってもらえるものにしたいと考えました。そこで、主に若い方をターゲットに、おしゃれで少量から挑戦できるパッケージ作りに取り組みました。見た目にも楽しくすることで、今の若い方々にも興味をもって食べてもらい、お年を重ねたときにまたこのお米に戻ってきたくなるような、そんな記憶に残るお米にしたいと思っています。そうすることで、最終的には米離れの解消にも繋がればと考えています。
また新しい発見として、うちのお米をキャンプ用に活用されるお客様がいました。小パックは2合サイズですが、無洗米はそのまま水を入れて炊くことができ、アウトドアにとても便利です。そんな新たな活用を見出していただけるのは嬉しいですし、手軽に少量から試すことができるので、ぜひお好みの活用法を見つけてほしいです。

生き物にも人にも優しい米作り

私は生き物が好きで、虫も大好きです。そんな生き物に殺虫剤など使いたくないので、虫の発生を抑える薬品駆除は行わず、雑草を全て手で抜くことで害虫発生を抑制しています。そのため、草抜き作業は年に5回。大変な作業ですが、結果的に薬の利用が減り、人の身体にも良いので、安心して食べてもらえるお米だと思います。自然環境や動植物に優しい米作りを理念に、農薬に頼らない栽培を実践しています。また、生産者の生産理念がお米の味にも影響すると感じています。長年のお客様から、父1人で作っていた時のお米よりも、私たち夫婦が一緒に作る今のお米の方が、味が優しくなったと言ってもらうことが何度かありました。実際にお米の味が変わったかは分かりませんが、きっとその背景を思い浮かべながら食べると、違って感じるのだと思います。なので、私が生き物を大切に、稲穂を大切に育てていることを思って食べていただけると、きっとより美味しいので、そうしていただけると嬉しいです。

希少な「ササニシキ」

現在複数の品種を栽培していますが、最近は見かける機会が減少した「ササニシキ」も栽培しています。「ササニシキ」は病気と倒稲に弱く栽培には技術が必要で、日本で作付けされる全ての品種中、僅か1%しか無いと言われています。収穫できる量も多くないので、お米農家は進んでは栽培しません。それでも栽培を続けるのは、祖父の代から長く召し上がっている方がいて、必要としてくださる方のために続けたいと考えているからです。その希少な生産者の1人であることを誇りにしています。そんなササニシキの特徴は、さっぱりした味わいです。日本食に合うので、お寿司やさんでよく使われます。最近は甘みの強いお米が好まれやすいですが、ササニシキには昔からのファンが多く、実は私も一番好きです。流行だけにとらわれず、幅広い好みに合わせてお米を提供できるように、これからも続けていきたいと思っています。

手軽に食べ比べを

栽培する品種は4品種あり、それぞれ味や香りが違い特徴があります。さっぱりした味わいが好きな方にオススメなのが「ササニシキ」、もっちり系でお子様のお弁当などにもオススメな「つや姫」、毎日食べても飽きず地元宮城県民も好きな「ひとめぼれ」、そして、次世代を担うのがもっちり甘い「だて正夢」(※2018/12時点で未販売の新品種)です。この4品種は全く味わいが違い、食べ比べがとても面白いと思っています。だて正夢が当店で販売できるようになったら、この4種をセットにしたいなと思っていますので、楽しみにしていてください。

夢は自分の名前のお米を作ること


私たちは夫婦で米農家をしていますが、常に意見を言い合い、目標を2人で設定して、それに向かって進むビジネスパートナーでもあります。当面の目標は、お米の美味しさをもっともっと多くの方に知ってもらうことですが、いつか自分の名前のブレンド米を作りたいという夢があります。先日は海外の方でも、小パックのセットを購入された方がいました。地域に関係なく気軽にお米を食べていただいて、好きなお米を見つけてもらいたいですし、その際選ばれるお米であってほしいです。最終的には、自分の好みによってお米の配合を決められ、お客様一人ひとりに合わせた調合を選べるようにできたら、面白いなと考えています。

【プロフィール】

  • お名前:星 光さん
  • 地域:宮城県栗原市
  • ショップ名:瀬峰星ライスファーム
  • ショップURL:https://fril.jp/shop/shrf

fril.jp

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