旬の野菜から季節を感じてほしい(溝口優子さん/千葉県)

f:id:infablic:20180316112041j:plain

有機農業が盛んな成田市で、露地野菜を中心に季節の野菜30-40種程度を少数多品目で栽培する溝口さん。2種類の有機肥料を自家製で作るという手の込んだ土地作りに、美味しい野菜作りのこだわりがありました。

就農のきっかけは婚活

農コンに参加して出会った主人との結婚をきっかけに、農業の手伝いを始めました。と言っても、元々農業には興味があって、それまでも週末農園で農家さんのお手伝いをしたり、エコのNPOで大豆栽培から味噌を作る活動をする中で、農業には良いイメージを持っていたので、いつかやってみたいと思っていました。18年間生活した東京から環境を変えたいと思っていた所、現在の旦那さんとのご縁もあり移住しました。
f:id:infablic:20180316114140j:plain

慣れない作業に最初は戸惑いも

当初農業には憧れで入ったので、現実とのギャップに1年くらい落ちこみました。オフィスの中の仕事とは違い天候にも左右されるので、寒かったり、辛かったり、疲れたりでもう出来ないと思った時期もありましたが、農業を知る程にだんだんと楽しくなり、今では畑にいるだけで気持ちがすっきりすると感じます。身体を動かす労働であることの楽しさや、命ある野菜と触れあいエネルギーを感じることが出来ることが農作業の魅力です。また、野菜は元々好きで1人暮らしの時も宅配を頼んでいましたが、美味しい野菜が日常的に家にあるのは幸せなことです。より深く野菜と携わり、作って食べる喜びも実感できるので、今はとても素敵な職業だと思っています。

f:id:infablic:20180316115957j:plain

一番のこだわりは土作り

自家製肥料には手間ひまかけています。使用する有機肥料は手作りで、農産物にとっての主食になるものと、おかずにあたるものの2種類があります。この2種類の有機肥料を必要なタイミングで与えることで、味の濃い健康な農作物が育ちます。

f:id:infablic:20180316114816j:plain(作製中の「堆肥」の山)

主食の肥料「堆肥」は、野菜の生育に必要な三大要素(窒素・リン酸・カリ)を供給する肥料です。材料はもみ殻主体の馬糞にビール粕や酒粕、米ぬか、鶏糞を混ぜて三か月以上寝かせて、時々かき混ぜて発酵させたものです。種まきや植え付け前に畑に撒きますが、一般的に使われている化学肥料が即効性で単一な肥料成分なのに対し、構造が複雑でじわじわと肥料が効き、沢山の有機物を含むので土が豊かになりしっかりとした野菜が育つという特徴があります。

f:id:infablic:20180316115224j:plain(発酵工程では熱を帯びてほんのり湯気が出る)

おかずの肥料「ぼかし肥料」は、微量要素と呼ばれる野菜の生育に少量ですが必要不可欠な鉄分などのミネラル分を供給する肥料です。人間にとっての必須アミノ酸のような役割で、材料は米ぬか、油粕、魚紛、にがり、ミネラル鉱石の粉末などで、そこへ微生物が住み着くように炭を入れ、EM菌と共にかき混ぜて樽に密閉します。空気が入らない状態で半年位置いて発酵させます。種まきや植え付け前、それと野菜の生育に合わせて追肥としても使います。

f:id:infablic:20180316114920j:plain (「ぼかし肥料」は樽で作製)

農薬不使用で皮まで美味しいにんじん

同じ種からでも、土によって育ち方は全く違いますが、土の中で長く生育する野菜ほどその影響は顕著です。うちのにんじんは一般的な品種ですが、自家製の栄養たっぷりの土壌で育てているので味が濃く、健康なにんじんに育ちます。野菜は食べる直前まで畑と同じ状態である方が鮮度が保たれるので土付きで発送をしていますが、その土を洗う時にんじんの香りがするので、食べる前から香りも楽しんでほしいです。また、にんじんは部位によって軸、その周り、皮のあたりと全部違う味がします。農薬は不使用ですし、皮があった方が味に深みもでるので皮ごと食べてほしいです。

f:id:infablic:20180316112555j:plain

定年退職の無い農業職、60歳からやりたい事

農業は暮らしととても近い職業なので、自分の望む生活が創造しやすいクリエイティブな仕事だと思っています。健康的に気持ちよく仕事ができるし、年を重ねても一生を通じて就業できるのも魅力です。定年退職がなくて、自分がやろうと思えば一生できるんですよ。作る作物も重いものから軽いものにシフトしていけばいい。私は60歳を過ぎたら何をしようか、今から考えたりしています。一般企業のように60歳で引退ではなく何が出来るか、その土地から考えることが出来るのも楽しいです。形が悪いだけで廃棄になってしまうB級品を活用して、加工品を作れたらいいなぁとも考えています。

野菜が体に良いから食べなきゃと言う義務感ではなく、野菜の楽しさを知ってほしいですし、それをこちらが伝えなきゃいけないと思っています。食べて美味しいことはもちろん、野菜で季節を感じてもらえると嬉しいです。

f:id:infablic:20180316114057j:plain

【プロフィール】

お名前:溝口優子さん
地域:千葉県成田市
ショップ名:あるまま農園
ショップURL:https://fril.jp/shop/arumamanouen

fril.jp

関連記事

アプリで暮らしを
ちょっとプラスに
累計4,000万DL突破!
トップへ