全国的に生産量が少なく貴重だと言われる三浦大根や、青首大根、キャベツなどを栽培する山田さんの農地は、神奈川県三浦海岸の、潮風がほのかに香る海からすぐの立地にあります。海岸が一望できる高台での栽培に励む山田さんの、農業に対する想いをお聞きしました。
土壌の肥沃さは歴史のあるもの
三浦の土壌は、とてもミネラルに富んでいると言われています。海のそばの高台に農地がある土地柄、土壌の栄養分が海に流れていると考えた先人が、海で海草を拾って堆肥に戻していた時期もあったと聞いています。土には栄養がありふかふかなのが特徴で、そのため大根がまっすぐに育ち、甘みも水分もたっぷりに成長します。
結婚をきっかけに就農
旦那さんが代々農家の長男で、結婚をきっかけに就農しました。今の旦那さんと知り合ったきっかけは三浦市の農業後継者との農業婚活でしたが、農業に対して楽しそうに誇りを持って向き合っている姿に、あんなに小さな種からこんなに美味しい農作物を作りだすなんて、なんてクリエイティブな仕事なんだと興味をもちました。また、もし結婚するなら自分に出来ないことができる尊敬できる人がいいなと思っていたこともあり、現在の生活に至りました。
(青々と広がる大根の葉)
昔ながらの農法を受け継ぐ栽培
昔からの農法を守って完全露地で栽培しています。温暖な気候でミネラルたっぷりの潮風をうけているので、濃厚な味の野菜に仕上がります。また自分達で食べて美味しいと思える野菜だけを販売しています。気候面では、冬は比較的温暖で、夏も海風の影響もあり涼しく風通しがよく、野菜へのストレスが少ないせいか大根は甘くみずみずしく育ちます。
(代名詞の三浦青首大根)
自然の生育の様子が楽しみ
農業をしていて嬉しいのは、ほんとに些細なことですが、撒いた種がちゃんと全て芽を出した時や、青かったトマトが赤くなる過程を見られたり、はちの受粉が始まったり、そういった自然の小さな生育の様子を毎日感じることが出来ることです。それまで私は消費者側でしたが、生育の過程は生産者しかみれない瞬間なんですよね。また、農作物は手をかければかけただけ、ちゃんと応えてくれるのが嬉しいです。間引きをしっかりする、雑草をしっかり抜く、などの一つ一つの工程が立派な実に繋がります。
(糖度は7-8度になることも)
エコファーマー認定農家
私たちの栽培方法は、無農薬ではありません。農薬が全て悪いものではないので必要な農薬は使用しますが、エコファーマーの認定を取得して4年目になります。自然の力を活かしつつ必要な農薬は使用することで、農薬には頼りきらない昔ながらの農法を続けています。
様々なレシピで楽しむ三浦大根
三浦大根は煮くずれしにくい特徴があるので、煮物やおでんに入れるのはオススメですが、うちではおひたしなんかでも食べます。軽く蒸したりするだけでも、もちろん生のサラダにしても美味しいです。自家栽培した農産物は販売するだけでなく家でもたくさん食べますので、色々な方法で調理をします。しょうがと大根とお肉で煮込むだけでも良いですし、ピクルスにしてしまうこともあります。いつもの食べ方に飽きたら、エスニック風の味付けにしてみたり、色々なレシピで食べることができます。
チャレンジとしての加工品
大根の栽培では、育てて、収穫して、洗って、箱詰めして、出荷するというサイクルで、ほとんど休みの取れない働き方になるので、少しでも自分でコントロールできる定価を持った商品を作り販売できるようになればと思っています。その第一歩が数年前から始めたトマトジュースやピューレです。王様トマトと言う木生りのまま完熟させ収穫するトマトを使用したものなのですが、今期はもう売り切れで人気商品になりつつあります。この先も自分が何かを生み出すことで少しでも良い循環を生み出し、また自分のモチベーションも高めていければと考えています。
(加工品第一号)
農家は毎年一年生
もともと農家だった主人に、農家は毎年一年生だと言われたことがあります。その言葉は凄く記憶に残ってるんですが、品種にもよりますが野菜って基本1年に1回の収穫なんですね。収穫の度に、よく出来たと感じることも、反省する点もあります。うちでは美味しいと思う野菜しかお出ししませんが、毎回が勝負なので、みなさんにきちんとお届けできるように、毎回大事に栽培していきます。
【プロフィール】
お名前:山田 靖子さん
地域:神奈川県三浦市
ショップ名:くろぜむ農園's shop
ショップURL: https://fril.jp/shop/kurozemufarm