「楽天ラクマ」では、農産物や水産物など食品の生産者や加工業者が活躍できるECの世界を目指して、審査を通過した事業者がラクマへ出店できるサービス「産地直送・こだわり食品」を2022年4月より提供開始しました。本サービスにご出店いただいている「大元商店」の横田繁夫さんにお話を伺いました。
仲卸という仕事について
私は創業3代目で、叔父がマグロ仲卸の基礎を築いたんです。私は大学を出て、9年ほど商社に勤めていましたが、子供の頃から夏休みなどには手伝いに来ていたので、築地市場は昔からなじみ深い場所でしたね。
商社時代は鋼材を売る仕事でしたが、原理原則は今の仲卸と一緒だと考えています。
31歳の時に、叔父の年齢もあって、この仕事に入ることになりました。生活リズムもガラッと変わりましたし、毎日必死でした。
商社時代に培った経験でもありますが、何事も「基本」が大事だと考えています。仲卸業者は「魚の目利き」と言われますが、私は、お客様のニーズにお応えすることが本当の「目利き」だと思っています。
ラクマでの販売を通じて、お客様お一人お一人と接点を持たせてもらって、ご家庭に冷凍マグロの美味しさを知っていただけたらうれしいです。
目標は、お寿司屋さんで最初に食べた「マグロ」を、最後に追加でもう1貫頼んでもらえること
職業柄、さまざまなマグロを見てきましたが、アイルランド沖の本マグロが一番美味しいと考えています。私たちは、餌や水温、潮の流れなどの影響で脂ノリ、色、香りなどマグロの品質が最も良くなる11~12月の旬の時期に漁獲し、マイナス60℃の超低温で保存されたマグロを扱っています。
マグロは1匹で150kgの大きな魚です。その多くが豊洲市場へ卸されます。豊洲市場には築地市場から長年にわたって培ってきたノウハウと、大きなマグロを四つ割りに解体する特別な設備があるので、出荷者の方々も安心して出してくださっているのです。
私のささやかな目標は、お寿司屋さんでお客様が 1貫目に「マグロ」を食べて、帰る前に最後にもう1貫、あの「マグロ」を食べたい、と追加で頼んでもらえることなんです。
マグロを1本ずつ引き上げてタグ付けをする「はえ縄漁法」
マグロには漁法がいくつかあって、一網打尽に獲る旋網（まきあみ）、はえ縄漁法などがあります。私たちが取り扱っているアイルライド産マグロは「はえ縄漁法」でやっています。効率は悪いのですが、産卵期の魚を取らない、資源を守る、などの利点があります。
獲ったマグロを大切に扱わないと身が割れたり、内臓処理の方法が悪いと中で血が滲んだりしてしまうのですが、私たちが扱うアイルランド沖のマグロは、漁師さんたちがマグロ1本1本を引き上げ、即座に内臓やエラを処理したのち、タグ（ナンバープレート）を付け急速凍結します。1匹ずつ丁寧に処理することで、品質の高いマグロを仕立てているのです。
（温暖化やコロナ禍など、環境の変化によって）これまで何十年も当たり前のようにあったものがなくなってきています。豊洲市場ならではの良いお魚がたくさん集まってきて、選べるという環境はありがたいですが、これを維持していかなければ、と思います。
若手の頃から、築地の大物業会でたくさんの方にご指導いただいてきました。今は、その流れで周りに支えてもらって、豊洲市場大物業会の会長をやらせていただいています。魚を獲ってくださる漁師さんたちのためにも、豊洲市場の競り場を大事にしたいので、卸会社と連携をとりながら務めさせてもらっています。
最高級の冷凍マグロをご家庭に
マグロの良さは、1体が大きいので、いろんな部位の料理ができることですね。もちろん生もいいし、火を入れて焼き鳥風にした「ねぎま」も美味しい。
バリエーション豊かな食材だからこそ、料理人の職人さんとのコラボが生まれるんですよ。
現在、マグロの流通は大半が冷凍です。「生がいい」と思われがちですが、冷凍の方が、旬の時期に獲れた魚を保存しているから、鮮度や脂ノリが最高の状態で届けられますし、安定供給が可能になるんです。冷凍マグロの良さをもっと知っていただき、その本来の価値を上げていきたいですね。
管理が大変な面はありますが、私たちの店では真空パックにして、一般家庭でも調理しやすい形で提供しています。また、どなたでも解凍の仕方が分かるよう、説明の紙を入れたりして、美味しさを届ける工夫をしています。
私たちのマグロは、コロナ禍になる前は、お寿司屋さんを中心に卸させていただいていました。豊洲市場だからこそ手に入る、最高級のマグロを、ぜひ一度ご家庭でも味わっていただきたいです。
【プロフィール】
お名前： 横田繁夫さん
地域：東京都江東区豊洲
ショップ名：大元商店
ショップURL： https://fril.jp/shop/daimoto
fril.jp
