笑顔で食卓を囲んでいただきたい(林田さん/熊本県)

トマトの名産地熊本県の、水や土壌に恵まれた土地で独自の農法によるトマト栽培に励む林田さん。楽天「ラクマ」で人気の「訳ありトマト」が誕生した経緯や、トマト栽培への想いを教えていただきました。

農家生活にはじめは葛藤も

農業は、実家がトマト農家の旦那との結婚を機にはじめました。
私の実家も祖父の代まではイチゴ農家で、農業に触れる機会はありました。
私の父は会社員で、父親(私の祖父)を見て農業の厳しさを実感し家業を継がなかった経緯がある人でしたので、私が農家にお嫁に行ことに当初はとても反対していました。
私も当時は農業に良いイメージはなく、父の反対を押し切り農家に嫁いだものの、最初は土を触るのも嫌だったり、若くして結婚したので同世代のみんなが遊んでいることへのあこがれがあったりで、農業をすることにあまり前向きではなかったのが、正直なところです。

育てる喜びから農業が大好きに

私の農業に対する気持ちが変化しだしたのは、まだ農業を始めたばかりの収穫の時期に、手間をかけて育てたトマトの実がしっかり赤く実ったのを見た瞬間でした。毎日トマトと向き合い農作業を続けていく中で、それまでになかった大きな喜びがふと実感できたんです。「植物も可愛がって育てるとこんなに立派に実るんだ!」と分かり、そこからはもっと上手に育てたいという意識からすっかり農業にはまってしまいました。それ以降は毎年実りの時期が嬉しく、その喜びがあるからこそずっと農業を続けています。
農家20年目の今もその思いは変わらず、一つひとつ赤く熟れるトマトを見るたびに毎年変わりない喜びを感じます。旦那の実家が農家でなければ私も就農していなかったと思いますが、今では私にとって農業は大好きな職業です。

水と土と太陽に恵まれた熊本

農作物の栽培方法は様々ですが、やはり一番大切なのは水と土と太陽です。熊本は水が豊かで、そのままミネラルウォーターとして飲めるような湧き水の源泉がいっぱいあります。また、私たちの栽培ハウスは有明海から徒歩5分程度の所にあるため、土には塩分やミネラルが豊富に含まれています。そんな中で、太陽の光をいっぱい浴びる環境で栽培しています。土壌は毎年検査をし、微生物や牛糞を混ぜ合わせ足りない栄養素を補うようにしているので、バランスの良い美味しいトマトが育ちます。

食の安心は必須事項

トマトが病気にかからないために、少量の農薬は必要です。ただ私たちの栽培方法では農薬を必要最小限にしていて、残留農薬の検査も毎年行っています。これは必要以上の農薬が土に残っていないか確認するもので、年に一回以上検査しています。細かい基準を全てクリアするためには手間も費用もかかりますが、消費者の方が安心して食べられるトマトを自信をもって販売したいので、毎年かかさず行っています。

(200~300にも及ぶ検査項目の一部)

昭和22年から続くトマト農家

私の代は現在3代目ですが、初代は終戦後昭和22年からトマトを栽培しています。現在熊本はトマトの生産で有名ですが、一説にはうちの農園の初代が栽培したトマトが深く関わっている可能性もあると聞いています。最初は竹でハウスを作る所から始めたそうで、色んな農作物を栽培し試した結果、土地にあっていたのかトマトが最も良く生育したので、栽培を続けるようになったとのことです。この地には昔からトマト栽培のプロが多く、代々研究を続けトマト農家を営んでいます。

(ハウスでの苗植え作業風景)

苗にストレスを与えるスパルタ農法

私たちの農園では、トマトの苗の植え方にこだわっています。農作物の栽培では、畝(うね)*1を積み上げて種を撒くのが通常だと思います。それを私たちは、道路を埋め立てるローラーでガチガチに鎮圧した土にドリルで何万個も穴を開け、そこに苗を植えて育てています。固い土に植えられたトマトは水分を吸収するために、通常より何倍もの根を張り巡らせます。過酷な環境で強く育つことで、実にも充分に味がのります。この農法はもう10年以上続けていますが、栽培方法を試行錯誤し、改善を繰り返した結果辿り着いたスパルタ農法です。私たちの農法は、先代より代々受け継がれた知識の蓄積で成り立っています。

(土を固めるローラー)

味には自信の「訳ありトマト」

トマトの収穫時期(2月~6月末)は、楽天「ラクマ」では主に規格外品のトマトを「訳ありトマト」として出品しています。「訳あり」と言っても、皮に少し傷があったり形が丸く整っていなかったりするだけで、味は正規品と全く変わりません。こういったトマトは、人件費や手間を考えると利益にならないので、それまでは廃棄していました。今は楽天「ラクマ」でとても喜ばれ評判が良いので、トマトが出荷できる時期になると、その時ある分だけ出品しています。商品は箱いっぱいに70~90玉くらい詰めるので、大ボリュームであることも人気です。毎日ビタミンをたっぷり摂っていただけるので、お子様のおやつにも喜ばれています。トマトの収穫時期以外は、加工品も販売しています。トマトの旨味をぎゅっと濃縮した「トマトディップ」や「トマトスパイス」も、フレッシュなトマトとはまた違う味わいをお楽しみいただけるので、ぜひ試してみて欲しいです。

(追熟の早い季節は青実も多めに入れ、食べ頃に合わせた納品を心掛けます)


(自社農園のトマトの加工品)

きっかけは「農業女子プロジェクト」の案内

楽天「ラクマ」で「訳ありトマト」の販売を始めたきっかけは、参加する農水省推進の「農業女子プロジェクト」で案内を見たことでした。当初「フリマアプリで野菜が売れているんだ!」という驚きがありました。それまでは卸業のみでしたので「どうやって直接お客さんに売ればいいのかな?」という気持ちもありましたが、新たな販売方法に挑戦したいと思い始めました。そこで、卸には出せない規格外の「訳ありトマト」を出品してみたところお客さんの反響がよく、今では有難い事に何度も購入してくださるリピーターさんもいます。お客様の「美味しかった」「梱包が悪かった」などの反応をダイレクトに聞くことができ、改善策の発見になり、また何より励みになります。楽天「ラクマ」に挑戦しなかったら、今も規格外品は廃棄していたかもしれません。

オススメは新鮮さをそのまま

「訳ありトマト」は、箱いっぱいに詰めて送る大ボリュームの商品なので、いろんな料理に使ってほしいです。新鮮なうちは、まずそのまま食べていただきたいです。輪切りにして、チーズとオリーブと塩コショウをかけラップをしてチンしたら、全部飲み干せるスープのようになりますし、冷凍保存すれば、冷凍庫から出してそのままミキサーにかけて簡単シャーベットにもなります。お客様の中には、長期保存用に自家製ケチャップなどに調理している方もいます。

一番大事なのは、商品を発送した後

私はトマトの販売において、商品を発送した後が一番大事だと考え、お客様の手元に無事に届くまでをこだわっています。トマトはデリケートなので、箱付めのタイミングでは納得のいく状態でも、天候や運送の状況で割れがでてしまうことがあります。万が一ご納得いただけなかった場合は、可能な限りお客様の声をお聞きします。箱に凹みがあれば運送業者の責任にもなりますが、無ければ自社の責任です。我が子のように愛情こめて育てているトマトなので、無事に食卓に上がる瞬間まで真剣に対応することを心がけています。
長年栽培を続け、今では収穫量も上がり安定した美味しさをお届けできるようになりました。みなさんのご家庭でも笑顔でトマトを食べていただき、健康に元気に暮らしてほしいなと思います。

【プロフィール】

お名前:林田裕美 さん

地域:熊本県

ショップ名:レッドアップ’s shop

ショップURL:
https://fril.jp/shop/redup

https://fril.jp/shop/redupfril.jp

*1:畝(うね):畑に作物を植えるため土を盛りあげた所

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