「おいしいは楽しい」を大切に。笑顔が生まれる商品を作りたい（お肉屋さんたどころ田所さん/北海道洞爺湖町）

「楽天ラクマ」では、農産物や水産物など食品の生産者や加工業者が活躍できるECの世界を目指して、審査を通過した事業者がラクマへ出店できるサービス「産地直送・こだわり食品」を2022年4月より提供開始しました。本サービスにご出店いただいている、「お肉屋さんたどころ」の田所達朗さんにお話を伺いました。

2年でインスタグラムフォロワー1万人獲得。地道な努力で父の事業を拡大

北海道の洞爺湖のある町で、家族で精肉店をやっています。私自身は20歳から歌手を目指して東京に住んでいたのですが、30歳になった区切りで地元に戻り、父の事業を手伝い、一緒にやっています。元々は9割以上が地元のお取引だったのですが、私が事業に加わってからはECをはじめて販路を拡大しています。私は今年で8年目となります。

洞爺湖町は人口8,200人の小さな町です。10年前から2,000人も人口が減っていて、道の駅くらいしか販路がありません。

2年前にInstagramを開設してから、 9,600人フォロワーまで伸ばしました。その間、一切有料広告は使わず、時間をかけて、一人一人のユーザーさんとコミュニケーションを取りながら、一つ一つの投稿に力を入れて取り組んだ結果、昨年度はSNSからの集客で売上が250万円あったんです。

最近はライブコマースも始めたり、冷凍肉の自動販売機での販売を始めたりと、新しい試みで忙しい毎日です。

私は元々、5年前に北海道庁が主催している「地域フード塾」というマーケティングの勉強会に参加しまして、SNSをはじめ、Webマーケティングについてその時に初めていろいろと勉強しました。

SNSでは、お客様がどんな気持ちになると投稿してくれるのか、というところを考え抜いています。例えばインスタでしたら、「おいしい物を知っているよ」ということを発信したいというインサイトを持つ方が今は多くいらっしゃるので、本当においしいものを、しっかりその価値をお届けできたら、SNSでも情報が広がりやすいと思います。

本場ドイツにも負けない、最高峰のソーセージを目指して

あらびきソーセージは通常、ミンチにしてフードプロセッサーで練り上げるのが一般的です。でもうちでは、ミンチのあらびきを崩さないように手ごねで練るんです。1日30Kg、大きなボール2つに分けて。肉々しいゴロゴロ感や、背脂の量も細かく調整できるのが、おいしさの秘訣です。

目指すのは、「日本人の舌に合うようなソーセージ」で、例えばラーメンなんかも、本場中国よりも日本のラーメンは人気があったりしますよね。
ソーセージも、本場ドイツに行っても「日本のソーセージが一番おいしいよね」、と言われるような最高峰の品質を目指しています。

乾燥の工程においても、通常、スモークしてからボイルして、冷蔵庫で冷やすんですが、大手企業さんの場合は、これらを一気にできる電気釜が主流なんです。
うちの場合は、直火型の窯で10分ごとに網を変えながら乾燥させて、お肉そのものの味を味わってほしいのでスモークは薄目にするんです。

他にも、私たちの店には、製品化に23日かかる熟成ベーコンというものがあります。500時間熟成させると、1kgの肉が700gにまで減るんです。塩気が入っているので、ホットプレートの保温機能で温めるくらいでもよいですし、弱火で焼くとおいしいです。

材料はすべて北海道産のお肉を使っています。精肉店なので、ベーコンに合う部位を選べることもおいしさの秘訣ですね。

「おいしいは楽しい」をモットーに、子供たちの笑顔が見られる商品をつくりたい

コロナ禍になってから、地元でのお祭りが年間で約20か所なくなっています。イベントでは出店して、うちの割りばしに刺したぺろぺろキャンディ型のグル巻ソーセージが子供たちに好評だったので、地域の子供たちと会える機会がなくなって淋しいです。

グル巻ソーセージは2000年に誕生。洞爺湖の南にある有珠山は、25～35年周期で噴火が起きると言われています。2000年に噴火があった時に、うちの店舗も避難地域になりました。隣町で2か月避難生活を送り、体育館で大勢の人と川の字で寝て生活したんです。

その時に母親が「人に笑われてもいいから、みんなが笑顔になれるような商品をつくれたらいいね」と。そんな思いで、ちょっとおもしろくて笑顔になれるような物を作りたくて、ソーセージに割りばしを刺して、イベントの時に「グル巻ソーセージ」を販売するようになりました。おかげさまで、当時小学生で「グル巻ソーセージ」を食べてくれていた子が大学生になってまたうちに食べに来てくれたり、地域の方に「ソウルフードだ」と言っていただいたりしています。

私たちは「おいしいは楽しい」という想いを大切にして、商品のビジュアルだったり、商品を通販で買って応援してくださったり、この味を楽しんでいただくことで笑顔が生まれる商品を作っていきたいです。