廃棄される動物を次の命につなぐ、理想の循環型社会へ(やまとある工房 笠井さん/京都府 相楽郡)

「楽天ラクマ」では、農産物や水産物など食品の生産者や加工業者が活躍できるECの世界を目指して、審査を通過した事業者がラクマへ出店できる「産地直送・こだわり食品」を2022年4月より提供開始しました。本サービスにご出店いただいている「やまとある工房」の笠井大輝さんにお話を伺いました。

廃棄される動物を次の命につないで、無益な殺傷を止めたい

私たちのいる京都府の笠置町は、人口の50%以上が65歳以上の限界集落で、西日本で一番人口が少ない町なんです。

会社を運営している3名は同じ大学のゼミ仲間で、学生の頃に、事業を通じて社会課題を解決するソーシャルビジネスを一緒に研究していました。
研究の中で、どこの地域にいっても獣害被害があることを知りました。鹿やイノシシが畑の作物を食べてしまい、農家の収益が減ってしまう。それにより、就農家が減る。ということで、国は政策として、2014年頃から2023年までに、野生の鹿やイノシシの数を半分までに減らそうとしているのです。
1頭捕まるごとに、国から報奨金がもらえるので、お金目当てで全国的に捕獲が進んでいる状況ですが、そのうちの9割がただ殺されて山に埋められたり、焼却処理されていることが判りました。

廃棄される動物を次の命につないで、無益な殺傷を止めたい。そう思った私たちは、大学4回生の時に今の会社を立ち上げ、今3年が経ちます。
同業者は全国的には年々増えていますが、私たちのような「鹿肉専門店」はまだ他にないと思います。

自分たちで鹿を狩って、解体、精肉加工、販売まで一気通貫で行う

通常、鹿肉は猟師から買い取ることが多いですが、ジビエは処理の仕方によって品質が大きく変わってしまいます。品質が安定せず、流通しにくい課題があるのですが、狩猟から処理・販売まで自社ですべて行うことで安定して高品質な物が供給できるのです。

通常は、罠か檻で捕まえて、槍で付いて仕留めるのが一般的ですが、自分たちは鶏などと同じく、生け捕り、活〆を行います。

生きたまま担いで山から帰ってきて、工場の中でとどめをさし、血抜きをするという工程です。(1時間以内に冷却・処理しないと、肉がどんどん劣化してしまう。死後硬直、酸化などが起こる)

高タンパク低カロリーで栄養価が高いのでアスリートの方、フィットネス関係の方、女性にも人気なんですよ。

笠置町では、鹿の食肉化100%を達成。次なるチャレンジへ

野生の鹿は筋肉が多く引き締まっているため、体重の2~3割しか肉が取れないんです。7~8割は骨、内臓、皮で占められています。
貴重な1頭の命を無駄にしたくないので、廃棄する部分を使って、鹿肉のペットフードや、レザー商品として商品開発をしているところです。1頭まるごと無駄なく活用して、流通させていきたいと考えています。
また、野生動物を狩るため、毎日同じ量が獲れるとは限りません。安定供給を実現するために、養鹿場を作っており、捕まえた鹿を牧場で一時的にそこで生かしておき、次の日に締める、ということをしています(寿司屋の生け簀のような役割です)。

全国的には、捕獲された鹿の92%が廃棄されている中で、笠置町では、おかげさまで鹿を100%食肉に利用できました。近隣の4市町村からも要望を受けており、私たちの活動は少しずつ規模を広げていっています。

欧米では高級肉の「鹿肉」。日本でももっとジビエを楽しんで欲しい

2年前にG20のサミットが京都で開催された時のメイン料理も鹿肉だったと言われていますが、鹿肉は本来、イタリアン、フレンチ料理では高級肉です。
日本ではまだ硬さ、臭みというイメージがあるので、そのイメージをいかに払拭するかがチャレンジですね。

私たちのショップでは、開封して簡単に食べられるハンバーグなどの商品を提供していますが、今回、ラクマで新たに販売するのは、焼かずにそのまま食べれる「ジャーキー」です。ヘルシーで、子供のおやつにも、アスリートのたんぱく源にもなります。

ぜひ一度、私たちの鹿肉に、本場フランスのワインを合わせて、ジビエを楽しむ機会にしていただけたらうれしいです。

【プロフィール】


お名前:笠井大輝 さん(写真中央)

地域:京都府相楽郡

ショップ名:やまとある工房

ショップURL: https://fril.jp/shop/b1465cf08e1904112b1f9941b10b29d0

fril.jp

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